高収益!不動産担保ローンのアサックスを分析してみた

みなさん、アサックスご存知でしょうか?時々、街中で広告を出しているのですが、私もそれで知っている程度でした。
調べてみると、ものすごい高収益企業でありながら、PERもPBRも低いということで興味を持ちました。分析してみたいと思います。

アサックスとは


公式HPの事業説明は、ズバリ「不動産担保ローン」
特色は、独自ノウハウで貸し倒れが低いとのこと。早速見てましょう。

業績とか(2021年3月期を基に作成)
売上高:5,910百万円
営業利益:4,114百万円
営業利益率:69.61%
経常利益:2,681百万円
純利益:2,681百万円
ROE:7.0%
PER:8.81%
PBR:0.6倍
これだけ見ると異常に儲かっていて、バグってるのかと思ってしまいます。また、PERもPBRも低く、この営業利益率水準でなんでこの辺を推移しているのが謎に見えてきます。
なぜ、株式市場でこれだけの評価してされていないのか検証してみます。

売上の世界


主な収益構造は、以下の通りです。
営業貸付金利息:4,600(77.86%)、貸付金残高に連動
手数料収入:793(13.42%)、期中貸付額に連動
解約違約金:273(4.62%)、期中返済額に連動
その他:242(4.10%)
※()は営業収益に占める割合
収益構造は、上記の通り、とってもシンプルなものであることがわかります。
「貸付残高×貸付利率」
貸付残高は、ここ数年ほぼ横ばいで約700億円
貸付利率は、低下傾向にあるものの、おおよそ約5.5%
調達金利は、約0.7%
金利はネットすると、約4.8%
貸付残高×ネット金利-営業費用が基本的なPLの形になるかと思います。

破産先の状況


延滞債権(3か月以上延滞債権):1,040百万円(2021年3月期)
※延滞債権:未収利息不計上債権。6ヶ月以上の延滞債権
営業貸付金残高のうち延滞債権が占める割合は、1.4%
延滞債権の割合は、1,000百万円から2,000百万円程度で低位安定。

事業のミソ


四季報にもありましたが、独自ノウハウで貸し倒れが低いとありました。
有価証券報告書には、その点について2点ほど説明がありました。
「当社の不動産担保ローンは、概ね1年から5年の期間でお客様に融資しております。担保物件の多くは、居住用不動産です」
「当社は、商業不動産、大型不動産、特殊な用途の不動産等需要が限定的な不動産は原則として担保とせず、一顧客当りの平均貸付額は20,000千円程度(2021年3月期)と小口分散を図っておりますが」
要するに、
・担保を個人向け居住用不動産に限定していること
・20,000千円程度に分散を図っていること
が貸し倒れの少なさであることがわかります。

なぜこのビジネスモデルが成り立つのか?


人員は74人です、実際にはコーポレートサイドの人が数十パーセントいると思いますが、営業貸付金残高は単純に一人当たり約10億くらいですか。一顧客あたり貸付残高が20,000千円ということから、一人当たり50人の顧客を抱えていることがわかります。
正直、ウェブサイトを見ても、UI/UXが素晴らしいとは言えません。
そうした中で、小規模でこの顧客を抱えて、新規の顧客を獲得しているということに驚きを感じます。
金利の安さ×最短審査」が大きな売りなのでしょうか。

広義の金利ビジネスの強さ


改めて、金利ビジネスの強さを感じます。
0.7%でお金を借りて、5.5%で人に貸す。
とっても強いビジネスだと思います。

株式市場での評価


前半にも少し書きましたが、
PER:8.81%
PBR:0.6倍
と市場での評価は低いです。
不動産×金融業界に共通している評価かと思いますが、業績も貸付残高も安定しているので、投資検討に値するのではないかと思います。
有価証券報告書にもありましたが、担保不動産価格の下落が最大のリスクですかね。