極東証券の決算を分析してみた

こんにちは。

個人的に好きな業界、証券業界の企業を分析してみたいと思います。

選んだのは極東証券、儲かる儲かると言われる証券業界の中でも、2021年3月期の利益率が高いので、選んでみました。

 

極東証券について

いわゆる中堅証券会社の規模です。

しかし、おもしろいのが、通常の中堅中小証券会社の場合、地域密着で根ざす証券会社が多いのですが、極東証券は少し違います。

支店の場所が、「大手町センタービル、霞が関、新宿、新小岩、蒲田、平塚、名古屋、大阪」となかなか特徴的な感じになっています。

証券会社は構造的に儲かるようになっていますが、対面証券会社は店舗という大きな固定費を抱えることで、利益率が下がる傾向にあります。

その中で、極東証券は店舗数を絞ることによって、固定費を抑えているものと思われます。

 

業績とか(2022年3月期)

売上高:6,492百万円

経常利益:1,880百万円

純利益:2,117百万円

PER:11.35倍

PBR:0.52倍

ROE:4.6%

時価総額:23,043百万円(2022年5月6日)

純利益率で30%以上、素晴らしく儲かっています。

金融機関らしくバリュエーションは低い形になっています。

 

収益構造

金融商品に係る受入手数料、トレーディング損益、金融収支が主な収益源です。

特質すべきは、債券トレーディングで約30億円と営業収益の半分近くを稼ぎ出しています。

証券会社は、取引量に応じて株式などの売買手数料、金融収支は主に信用取引金利収入が主な収益源となっているケースが多く、特に信用取引金利収入は、現状ほぼゼロに近い金利で資金を借り、3%程度で顧客に貸し出しているため、信用残高が大きくなればなるほど利益になるという構造になっています。

それにしても、極東証券の債券トレーディング損益は驚くばかりです。

 

その他

顧客預かり残高は、3,700億円で、ここ数年は安定しているようです。

預かり残高10,000百万円以上の顧客で、預かり全体の85%を構成しており、60代以上の顧客割合は、約71%となっています。

 

考察

まず、第一に、債券トレーディング損益の動向がわかりません。対顧客間で行われている感じではなさそうなので、極東証券のBSでやっているトレーディングで稼いでいるのではないかと思います。。

いずれにしても、前半で支店数を絞ることで、固定費を削減という話を書きましたが、債券トレーディングを除くと、赤字になることがわかります。

 

顧客層も、対面証券会社らしく、高齢者×富裕層(相対的)にアプローチをしていることがわかります。

特徴としては、新規開拓顧客の半数が、既存顧客からの紹介というのが挙げられるかと思います。

 

私見としては、ネット証券のように顧客年齢層が低いわけではないので、投信積立を皮切りに、長期のリレーションを築くわけではなく、当然短期のトレーダーもいないため、信用取引の需要増を見込めるわけではないので、なかなか厳しい状況です。

トレーディング損益が頼みの綱ではありますが、本業サイドで顧客とのアプローチや今後のビジネスをどう構築するか注目です。