弁護士ドットコムの決算を分析してみた

こんにちは。

今日は、弁護士ドットコムの決算などを分析してみたいと思います。

弁護士ドットコムと言えば、グロース株として有名ですが、今回取り上げた理由としては、某外資系証券会社が超強気の目標株価10,000円を出しているのに対して、現在の株価は3,295円です。

果たして、10,000円まで株価が上昇するほどの事業ポテンシャルがあるのか決算や事業を見てみたいと思います。

 

会社概要や事業

もともと法律相談プラットフォームとして2005年に設立されました。

弁護士である元榮太一郎氏が創業しましたが、現在元榮氏は退任し参議院議員です。

現在の社長は、カカクコムやみんなのウェディングの役員を経験した内田陽介氏が務めています。

 

役員を見て驚きましたが、社内取締役4人のうち3人が2015年入社、もう一人も2013年入社2015年に執行役員となっています。

2014年に東証マザーズに上場し、2016年に元榮氏が参議院議員になっていますが、上場後創業者が退任し、新しい経営陣で事業を行っていることがわかります。

なんと2022年6月から創業者である元榮太一郎氏が代表取締役社長に復帰するということで、経営及び事業がどう変わっていくか楽しみですね。

 

大株主の状況を見ると、元榮氏と元榮氏が代表を努める法律事務所が、合わせて65%の株式を保有しており、改めて創業社長って本当に特権的な地位だなぁと思いました。

 

会社概要が長くなってしまいましたが、それでは業績と事業について見ていきましょう。

 

業績とか(2022年3月期)

売上高:6,877百万円

営業利益:1,139百万円

経常利益:1,149百万円

純利益:702百万円

PER:125.12倍

PBR:36.63倍

ROE:30.6%

配当利回り:0%

時価総額:73,361百万円(2022年5月27日)

 

改めてPERとPBRの破壊力がすごいですね。

2020年10月には株価が15,000円近辺にあったことを考えると、ここまで株価が下がってもまだこんなにバリュエーション的には高く付きますね。

 

ここからまた目標株価を10,000円に設定するということは、余程事業成長があるという理解でいることがわかります。

はてさて、事業にそれほどのポテンシャルがあるのか見ていきたいと思います。

 

事業

まずは、事業系統図を見ましょう。

 

弁護士ドットコム事業

基本的には、Google等の検索フォームにて法律問題を検索し、弁護士ドットコム上にて弁護士に法律相談したり、回答を見るために、ユーザーが課金するシステムです。

また、法律相談を受ける弁護士側からも課金しているようです。

 

2012年から2019年までの伸び率と比べて、コロナ禍の頃からはかなり停滞していることがわかります。

調べて見ると、検索順位の降下が以前にあったようです。

kabumatome.doorblog.jp

 

そして個人側の有料会員も弁護士側の有料会員も伸び悩みが顕著です。

 

ということで弁護士ドットコム事業は、何か浮揚策がないと厳しいようです。

 

クラウドサイン事業

次に、伸び盛りのクラウドサイン事業です。

順調に伸びていることがわかります。

クラウドサインは、片方だけ契約していては先に進みません。

双方が契約してはじめてサービスの意味をなすため、ネットワークが起きることになります。

これはなかなか大きいですね。

 

そのほかに税理士ドットコム、ビジネスロイヤーズという事業を行っていますが、事業インパクトが小さいと考え、説明は割愛します。

事業全体の売上推移を一応載せておきます。

 

成長可能性について

今まで見た通り、クラウドサイン事業がどこまで伸びるかがキモであることがわかります。

2023年3月期決算予想では、全体で売上8,800百万円と記載があります。

2025年3月期では、クラウドサイン事業だけで100億円の売上を目指すということです。

たしかに、過去の売上推移を見ると

2021年3月期:2,880百万円(前期比+82.97%)

2020年3月期:1,574百万円(前期比+147.05%)

2019年3月期:637百万円

という感じで、この調子でいくと2025年3月期にはクラウドサイン事業が100億円に達成するというのはあながち無理な数字でもないかと思いますね。

 

もう一回株価について整理してみよう

現在の株価は3,295円で、時価総額は73,361百万円です。

目標株価を10,000円とすると、現在から3倍ということで時価総額は220,000百万円(2,200億円)程度ということになります。

 

グロース株の象徴的な存在であるエムスリーでも現在47倍なので、仮に2,200億円の時価総額をつけた時のPERを50倍とすると、当期純利益が44億円になります。

30%の法人税支払い前は、約62億円の営業利益が必要になります。

 

現在の営業利益が1,139百万円、クラウドサイン事業の営業利益が532百万円なのでやっぱり営業利益10倍が必要になりますね。

うーーん、なかなか厳しいような気もしますが。

事業開始当初かつコロナ禍という追い風で、出足が順調ですが、このペースでクラウドサイン事業が伸びていくというのは、素人意見でも難しいように感じますね。

 

考察

見てきたようにこの会社の一丁目一番地はクラウドサイン事業です。

今後この進捗で株価が決まるというのは自明なので、クラウドサイン事業の特にネットワーク効果をどう見積もるかがカギですね。

外資系証券会社では、DCFモデルで株価を計算していましたが、ここではすごくシンプルに考えて見ました。

当面は事業の成長を注視するというスタンスを取りたいと思います。